「話のわかる工務店」がわかる話

お客さまとの話。職人との話。取引先との話。地域の話。お金の話。家づくりの参考になればと思い、「話のわかる工務店」がこれまで語って来なかった話をご紹介します。これで脇坂工務店のことを少しでも知っていただければ幸いです。

脇坂肇

2021年8月20日 更新

#28

神社と工務店。

脇坂肇

「困った時の神頼み」
なんて言葉がありますが、
商売やっていたら鉄則は、
「困る前から神頼み」
だと思っています。
普段から私が神様、ひいては神社と
どうお付き合いをしているか。
それを少々お話しようと思います。
あんまりこんなことを語る
工務店や建築会社ってないですよね。
というか、
今や神社との付き合いを大事にしている
工務店さえもあまりないのかもしれません。
あ、別にスピリチュアルな工務店
ってことではないですよ…。
間取りを神様のお告げに従って決める、
とかしないですから…。

私と神社とのつながりは、
私が産声を上げた時から始まりました。
というのも、札幌の中心部にある
三吉神社で「肇」と命名してもらったからです。
幼少期から、親からそのことを聞いていたので、
以来ずっと私も、私の子どももみんな
三吉神社でお世話になっています。
七五三とか、100日参りとか、行事ごとはすべて
三吉神社です。

また、私が社会人としての産声をオギャーとあげた時、
つまり新卒入社した某大手流通店も、
神社とのつながりを感じる環境でした。
そこで商売のイロハを徹底的に学んだのですが、
商人の心構えみたいなことも含めて
叩き込まれた記憶があります。
その教えのなかにあったのが、
「昔の商人は神社との関係を大事にしていた」
ということ。
だから、私も商いをやるなら、
神社とちゃんとお付き合いしないといけない
って自然と思うようになったわけです。

以降、自分で会社を始めた時とか、
オフィスを移転した時とか、
節目節目で毎回神棚を用意して、
神主さんに来ていただき、
きちんとお祓いをしてもらっています。

また、年明け、当社がその年最初にやる仕事は、
社員全員で神社に行くこと。
銭函の氏神様、豊足神社に行ってお参りするんです。
工務店という仕事の性質上、危険は隣り合わせ。
安全第一。
今年も何事もありませんように、とお祈りしています。

まあ、これくらいのことは、
他業界の会社でも慣習でやっているところが
多いかもしれませんね。
でも、工務店などの建築業界で決定的に違うのが、
仕事がら神社との結びつきが強いということです。
具体的に言うと「地鎮祭」です。
建設予定地で神主さんが何かやっている様子を
目にしたことがある方もいることでしょう。
あれは土地の神様に対して
「ここに建物を建てていいですか?」
と許可をいただく儀式です。
神社とビジネスが接点あることって、
他の業態ではあまりないですよね。
受注できるように、
神主さんに営業同行してもらって、
客先で祈祷するとか、
そういうことやってないですよね。
ええ、知っています。
冗談ですよ。

あ、地鎮祭がらみで、ちょっと自慢していいですか。
当社が仕切る地鎮祭、
晴れる確率はなんと90%以上という実績。
雨予報だからテントを張って準備していたものの、
地鎮祭の時間になったら晴れて、
終わった途端に雨が降り出すなんてこともありました。
うちの従業員も不思議がっています。
まあ、たとえ雨が降ったとしても、
「雨降って地固まるって言いますし…。
逆にラッキーです!」
って、私はたぶん言うと思います。
というか「晴れ男」って先に言ったもん勝ちですよね。
だって、晴れたら自分の手柄、
雨降ったら他の人のせいにできますし…。
あ、ゆがんだ視点で物事を捉えてしまいました。
神様、お許しください。

日本では、その土地その土地に神様、
つまり氏神様がいるという考えがあります。
その神様が地域を守ってくれているということ。
当社は札幌や小樽をメインに企業活動しているので、
いくつかの神社と「お付き合い」があります。
まずは、先程あげた銭函の氏神様である「豊足神社」。
銭函は小樽市にあるので、
もちろん小樽総鎮守「住吉神社」にもお邪魔します。
札幌は「三吉神社」、本社そばにある東区の「諏訪神社」、
そして「北海道神宮」。
会社として5社とお付き合いがあります。

じゃあ、どんな付き合いかというと、
そこまで大仰なものではありません。
年末になると、それぞれの神社に
一升瓶のお酒を二本ほど持参してお参りし、
授与してもらった御札をオフィスの神棚に飾ります。
あとは節目節目でお参りする感じでしょうか。
また、神社の例大祭の前日も
神社にお酒を必ず届けるようにしています。
こういうことって、
工務店としては基本中の基本だと思ってやっています。

余談ですが、
小樽の住吉神社で150年の祭典があった際、
建物の修繕が行われました。
その寄付が募られたのですが、
寄付額が●●万円以上だと、
石碑に寄付した人の名前が記載される特典?
がありました。
神社行くと個人名や企業名が書いてあるところ
ありますよね。
アレです。
でも、うちは悪目立ちしたくないので、
ギリギリ●●万円以下の金額にしたら、
ばっちり名前が石碑に出ていました…。
聞くところによると、寄付がそこまで集まらずに、
少し金額が低めの人の名前も出すことにしたんだとか。
住吉神社に足を運ばれる機会があれば、
当社の名前を探してみてください。

ここまで主に会社と神社との付き合いについて
お話してきましたが、
私個人としてはシンプルに神社が好きなんですね。

30代なかばから40代後半にかけて、
狸小路の神輿会に入っていました。
祭りの時期になると神輿をかついで
練り歩いていたんです。
また、東京に行くたびに靖国神社で参拝しています。
別に政治的に右でも左でもないのですが、
約20年に渡って、足を運んでいますね。
毎年7月に開催される
「靖国神社みたままつり」というのがあって、
境内には3万超の提灯がズラッと掲げられるのですが、
そのうちの1つは脇坂工務店の社名が入ったもの。
夜、灯りがともる様子は一見の価値がありますよ。

言わずもがな伊勢神宮にも伺います。
20年に一度行われる神事、式年遷宮の時にも
伊勢へお参りに行きました。
他に訪れたことのある著名な神社は、
大分の宇佐神宮ですね。
全国に4万社あまりある八幡様の総本宮です。

こんなことを話すと、
神社のおっかけやっているみたいでしょうか…。
周囲に神社好きを
アピールしているわけではないんですが、
みんな不思議と旅行のお土産で、
その土地の神社でお守りや御札を買ってきてくれます。
だから、ある年には手元にあるお守りの数が30個にも
なったことがありました。
あ、もちろん持ち歩いてはないです。
30個のお守りを鞄にぶら下げて歩いていたら、
道行く人たちはスーッとどいてくれる
ご利益がありそうですが。
ご利益…?

印象的な神社でいえば、
東京の日本橋、小網町にある「小網神社」です。
私がここを知ったきっかけは
あのゲッターズ飯田さんでした。
縁あって
彼に2回ほど“見てもらう”機会があったんです。
あまりにも当たるから、
「ゲッターズさん、
あなた、霊的なものが見えるんでしょ…?」
と聞いたんですね。
「いやいや、これは統計学ですから」
と否定されたものの、
「ただ…右って結果が出ているのに、
左を指しちゃうようなことはありますねぇ」
と言ってました。
(やっぱり見えてるんじゃ…)

そんな彼が「あそこは本物ですよ」と
語っていたのが小網神社です。
強運厄除の神、
東京銭洗い弁天の杜と呼ばれているのですが、
戦地に赴く前にここでお祈りした人たちは
みんな生還したという言い伝えがあります。
それくらい強力なご利益があるのだとか。
細い路地にある、すごい小さな神社ですが、
やたら混んでいるので、すぐわかるはず。
靖国神社と同じく、
東京へ行った際には必ず寄るようにしています。
私はそこまで霊感的なものはないと
思っているのですが、
ここを訪れた友人は
「すごいところだねぇ…」と言っていました。
不思議と何か感じるものがあったのでしょう。

そうだ、不思議なことと言えば
あんなこともあったな…。

2020年春、荒木木工品興業という会社が
脇坂工務店の仲間となりました。
ここに詳しく経緯を書いています)

で、2020年の末、
荒木木工品興業さんが一緒になって初めての年末。
神棚の御札をちゃんと取り替えようと従業員に勧めて、
その地区の氏神様、上白石神社のものに変えたんですね。
もちろん、お酒なんかを供えたりして。
というのも、荒木さんの先代社長は
上白石神社で総代も務めた人だったらしく、
神社関係のことを大事にされていたと。
だったら、なおさらちゃんとしようよ、
という話をみんなにしました。

すると、なんということでしょう…!
2021年になってから立て続けに、
その白石区の菊水元町のエリアで、
いくつも仕事が成立したんです。
縁あって3件も土地を買うことになったり、
木造の新築案件が決まったり。
当社がこれまでほとんど
商売をしたことがないエリアにも関わらず、
突然良い波がきました。

こんな話をすると、
「またまた〜」と言われるかもしれませんが、
その上白石神社の御札を神棚に祀ったことと
けっこう関係あるんじゃないかな…。
偶然と思えないんですよねぇ。
商売ってこういう“神がかった”ことって、
あると思っています。
厳密に言うと、
先代が神社との付き合いを大事にされてきたから、
会社のバトンを受け取った私が
その恩恵に与っただけとも思っています。
なんだか、そういう先代から
「脇坂、頼んだぞ」
と言われている気が良くするんですよね。
2代目や3代目が跡を継いだ
歴史ある会社だとそうです。
会ったこともない先代が語りかけてくる気がして。
(ひょっとして、私にも霊感的なものが…?)

もう一つエピソードを思い出しました。
自動車修理工場をやっている友人がいるんです。
彼は3代目。
社屋の屋上にお社があったんですが、
彼から「撤去しようと思うんだけど…」
と相談受けた時、
「会社がつぶれるぞぉぉぉぉ!」
と思わず説教しましたから。
当社で鳥居とかの修繕をすることにして、
彼には近所の神社に行って、
工事をする旨、相談しなさいとアドバイス。
工事中は神様に別の場所にいていただくための儀式を
神主さんにやってもらうためです。
結果、無事に工事は完了。
彼の会社は現在も堅調だと聞いています。

といったことを経験しているから、
私は節目節目に神社へ行って手をあわせます。
自分の都合の悪い時にだけ行って神頼みしても、
神様だって聞いてくれないですから。
あと私が思う神社って、
感謝の意を伝えに行くところであって、
お願いをしにいくところではないと思っています。

工務店って土地がないと仕事にならない仕事。
その土地で将来暮らす人、
そこで工事を行う人が安全であることが何より大事。
人を守ってもらうために、
神様の力を借りたいと思っています。
自分たちでできることは精一杯やった上で、
最後の最後に力を借りる。
それが私にとっての神頼みです。

北海道って色んな地域出身者が集まっています。
さらに歴史も浅いから、
本州と違って昔からその土地にある
神社の数も少ないでしょう。
現代になるとますます神社への意識や
つながりが希薄になっています。
だからこそ、私は工務店の経営者として
神社との関係を大事にしたいと思っています。

では、最後に神様にお祈りしておきましょうか。

(神様が、この文章を読んでいますように…)

(脇坂はこんなにマジメにやっています…)

(神社のことをこんなにも伝えようとしています…)

(ご利益がありますように…)

はっ、つい心の声が。

脇坂肇