「話のわかる工務店」がわかる話

お客さまとの話。職人との話。取引先との話。地域の話。お金の話。家づくりの参考になればと思い、「話のわかる工務店」がこれまで語って来なかった話をご紹介します。これで脇坂工務店のことを少しでも知っていただければ幸いです。

脇坂肇

2021年6月17日 更新

#26

営業のいない工務店。

脇坂肇

工務店という会社には、
たいてい営業が一人や二人はいるものです。
しかし現在、脇坂工務店に在籍している
営業はゼロ…。
いないのです。
いや、正確には一人います。
誰かって?
社長兼ラジオ担当兼営業を務める
私、脇坂肇でございます…。
やむにやまれずこの状態ですが、
小さな大横綱、千代の富士が引退会見で
口にした言葉が脳裏をよぎる毎日です。
体力の限界…
(数秒の沈黙)
気力もなくなり…

いや、気力はありますね。
少なくとも、
千代の富士を思いつくくらいの気力は。

もともと当社は、
リフォーム事業から始まった会社。
一番多い時には営業が3名在籍していました。
しかし、2020年3月、
17年間頑張ってくれていた
古株の営業が独立するために退職。
営業がゼロになるということで、
その入れ替わりとして中途社員を1名採用しました。
彼は住宅専門会社からの移籍だったのですが、
結局半年後に話し合いの末、
お互い納得の上、辞めていただきました…。
この後詳しくお話ししますが、
うちの営業が特殊と言いますか、
対応してもらうのがなかなか難しいのです…。

よって、2020年の秋には晴れて(?)営業がゼロに。
営業がいない!
じゃあ、誰がやるのか。
周りを見渡すと、
鏡に写っている私、不肖脇坂肇がおりました。
お客さまからすれば、
ラジオに出ている社長自ら営業対応するわけです。
会いに行けるアイドル、A●Bならぬ、
会いに行ける社長、WKB
Wakisaka Komuten B…
えっとBはなんですかね。

うちの営業が特殊な点。
それは、とにかく建築にまつわる
広い範囲のことを知っていなければ
仕事にならない、ということです。
うちの営業が扱う商品をざっとあげると、
・住宅
・飲食店の店舗
・飲食店の店舗兼住宅
・企業の社屋
・工場兼事務所
・保育園や老健施設
・木造アパートやRCアパート
・別荘やゲストハウス
・リフォーム
etc.
といったところ。
予算規模も数千円から数億円まで幅広いです。

営業の仕事で一番肝心なのは、
お問い合わせをいただいたお客さまと話をする
ファーストコンタクトだと私は思っています。
ここ、非常に大事。
特に新築の建物の時、
お客さまからヒアリングをしながら、
どんな内容で、どんな仕事をすればいいのか、
先の流れを見定め、組み立てていくのです。
交通整理をしている感じですね。
「これとこれは、あの人に頼んで、
設計事務所はあそこがぴったりだな」
みたいに適材適所で人を配置して、整えていく。
すると、物事がスーッと動き始めていく感じです。
さまざまなチカラを組み合わせて、
足し算ではなく、掛け算になるように、
とでも言いましょうか。
プロデューサー的な仕事だと思います。
長年やっているおかげで、
お客さまと話をしながら、組み立てるべき内容が、
頭の中にパッと浮かんでくるくらいにはなりました。
このために絶対欠かせないのが
建築に関する幅広い知識や経験なのです。

もう少し具体的に
うちの営業がどのようなことをやるのか。
正確には営業としての私が
どんなことをやっているのか
お話ししましょう。

土地を既に取得されているお客さまに
どんなものを建てたらいいかを
提案することも営業としての仕事です。
当社は2020年から2021年にかけて
2棟の賃貸アパートを建てる仕事を
させてもらいましたが、
完成前に満室となりました。
(最近の札幌では珍しいんですよ)

これは賃貸管理会社とタッグを組んで、
「こういう物件にすればニーズがあるはず」
と計算した上でオーナーにご提案し、
建てているから上手くいったのです。
懇意にしている賃貸管理会社は
建築予定地のエリアでは
どんな物件に人気が集まっているか熟知しています。
それを踏まえて、
家賃、間取り、内装、駐車台数を一緒になって決めて、
アパートのトータルプランを練るわけです。
営業として、ここに一番エネルギーを使います。

また、ある会社さんからは、
銭函の工業団地に
社屋兼工場を建てる仕事を依頼されました。
運良く1800坪の土地が見つかったものの、
ちょっと広すぎる。
ならばと、その半分を脇坂工務店が取得して、
買ってくれる人を探すことにしました。
また、当初は「鉄骨で作りたい」という
オーダーだったのですが、
どう考えても、木造のほうが合う。
そこで、お客さまにメリットを説いて、
結果木造で工場を建てることにしました。
イメージでなんとなく鉄骨を希望される
お客さまも多いのですが、
どっちが良いのかは状況によります。
この場合、決め手のひとつになったのはコスト。
鉄骨より木造のほうが、
坪あたり10万円も安くすんだのです。
結果、劇的にコストを下げることにも成功して、
お客さまに喜んでいただけました。
こういった提案や実行も当社の営業の仕事です。

さらに経験がモノをいうのが店舗建設です。
私たちは過去に店舗物件を数え切れないくらい
手掛けているので、
色々な角度からアドバイスできます。
最適な土地の広さや駐車台数はどのくらいか。
住居と兼用にするなら、
建物面積に対して店舗の割合をどうするか、などなど。
(50%以下を店舗にしないと、
住宅ローンが使えないんです)
経験していないと知らない、
落とし穴が山ほどあります。
私は皆さんの身代わりとなって、
深いのから浅いのまで、
先に穴に落ちておきましたから…。
たとえば、ずっと自社ブランドの家だけを
売っている営業は、
こういった経験を積むことが
環境的に難しいですよね。
別に優秀かどうか、とかは関係なく。

私が深く関与するのはプランが固まるところまで。
そうしたら、技術者にバトンタッチして、
具体的な見積作成の段階にうつります。
そこで正確な見積を出していくわけです。

「そんな営業がたった一人、
しかもラジオに出ている社長一人では
仕事が回らないのでは…」
と思われた方、いい指摘ですね。
当社には営業がいないかわりに、
優秀な技術者(現場監督)がたくさんいるんです。
リフォーム時代からお付き合いのある
昔からのお客さまは、営業を抜きにして、
技術者が最初から最後まで対応しています。
コミュニケーション力が高い人間が
揃っていますから。

なんなら、私が良かれと思って
お客さまのところで
リフォームの話をまとめて
持って帰ってくると、
「え、社長、なんですか、これ?
こんな内容だとできないっすよ。
ちゃんと詰めてきてもらわないと…」
と怒られるくらい、
現場の人間たちが
数字も含めて管理してくれています。
私、昔はあんなにバリバリと
リフォームの営業をしていたのに…。
まさに諸行無常です。

いい技術者が当社に集まっている理由は、
ラッキーとしか言いようがありません。
現在11名が在籍しています。
50代がボリュームゾーンで、
色んな経験を積んでいるメンバーたち。
その経験の幅広さ=脇坂工務店の守備範囲の広さ
につながっています。
たとえば、2億円規模の案件が現在2つ進行中ですが、
億超えの案件を手掛けたことのある技術者って
業界でも希少なんですよ。
でも、当社の技術者は対応できるんです。
あ、すいません、
自慢しているみたいになりました。
まあ、自慢ですね。
自慢の従業員です。

仕事の種類として、設計事務所から
施工だけを頼まれるパターンも多いです。
年に新規で2,3件はあるでしょうか。
これも営業はそこまでタッチしない仕事です。
最初の打ち合わせとかには私も顔を出しますが、
あとは直接技術者がやりとりすることが多いですね。

最近だと印象に残っているのは、
福岡を拠点に活動する設計事務所、
ケースリアルさんとの仕事です。
ある日、Webを通じて仕事の打診がありました。
外国人の依頼主がニセコに別荘を建てるので、
そこに力を貸して欲しいと。
寒冷地住宅を施工する際の
アドバイスを求められてのオファーでした。
やはり本州とは大きく異なり、
気をつけないといけないポイントが
多々ありますからね。
その建物の竣工写真は
脇坂工務店のホームページに
「CHALET W」という名前で
掲載されているので、
是非ご覧になってみてください。

ちなみに、そのケースリアルの社長さんと
いっしょに札幌のお寿司屋さんに行った時のこと。
「いやー、
日本でインテリアデザインを担当している
ブランドのライバル、
世界的ブランドなんですけど、
そこから仕事の依頼があったんです。
でも、流石に断ったんですよね…。
本当はやりたかったんですけどねぇ…」
と彼がこぼしていたので
「あのね、社長…、
男の美学は痩せ我慢ですよ…」
と遠い目をしながら、
ものすごい上からアドバイスしておいたんです。

私その時、知らなかったんですね。
ケースリアルさんって
インテリアデザインの世界で超有名だということを。
たとえば、札幌市民に馴染み深いところで言えば、
イソップ札幌店のインテリアなんかを
手掛けていたりするんです。
その社長に我慢できずに、
ドヤ顔で偉そうなことを言う、
脇坂肇は営業に向いているのでしょうか…。
いや、向いてないんじゃないか。
この責任をとって営業を辞めたい…。

というのは半分冗談で、半分本当です。
そうなんです、
本気で営業を探しているのです。
どこかに良い人はいないでしょうか…。

忙しいながらも
私は営業を楽しくやっているのですが、
この1年、やはりどうにもこうにも忙しい。
土曜日出勤は当たり前。
日曜日もたまに休めるかどうか。
技術者に話をふる前の案件、
つまり私の仕事が常時3,4件ほどあって、
彼らにパスを出したと思ったら、
また新しいボールがやってきて…
みたいな感じが続いています。
や、ありがたい話なんですよ、本当に。

が、冷静に考えてみてください。
記憶が確かならば、私は社長…。
中小企業なので、
経営のこととか、広報のこととか
やらなきゃいけないことは
意外と多いんです。
ラジオとかに出ているし。
ラジオの原稿を自分で書いているし。
社長をこんなに働かせるなんて、
なんてブラックな会社なんだ!
もう、「男の美学はやせ我慢」
とか言っている場合ではありません。

私のサポートをしてくれる営業の方、
血眼になって探しています。
そうです、今回はただの読み物のフリをした
求人広告なのです。

でも、こんなにうちの営業が特殊という
話をしましたからね。
あ、ちょっと引いていますよね…?
でも、間違いなく仕事は面白いですよ。
飽きることはないですし、
経験のある方なら、
かなり手応え、やりがいのある仕事だと思います。

ちなみに現在営業の方でなくても
十分仕事をしていただけると思っています。
たとえば、
「建築そのものはすごく好きだけど、
現場監督をやるのは性に合わないなぁ…」
という技術者なんか、
当社の営業に向いているはず。
お持ちの知識が存分に発揮できることでしょう。

さらには会社の将来を任せられる
いわゆる幹部候補ってことでも
人を採りたい気持ちがあります。
私、2022年に還暦を迎えるんです。
心は40代前半なのですが、
肉体はどうやら赤いちゃんちゃんこを
着たがっているようです。
年齢を考えると、
会社の経営を誰に譲るかも
考えていかないといけないですから。

もしどなたか来てくれるなら、
私がこんな感じなんで、
明るい人がいいですね。
「ラジオで冗談ばっかり言ってないで、
社長ちゃんと働いてもらえますか…?」
と真顔で正論を言うようなタイプよりも、
私の渾身のギャグとかに
ちゃんとツッコめる人がいい。
笑わなくてもいいんです、
そう、無視さえしなければ…。

50歳でラジオデビューして、
気付けば会いにいける社長になっていた私。
そろそろ、
普通の男の子に戻りたくなってきました。
古いか。
最近の言葉で言うと、
卒業したいんですよ、色々…(意味深)。

というわけで、
脇坂工務店は営業職を絶賛募集中です。
これを見て応募してきた方には、
家が1軒ついてくるとか、こないとか。
会社が1社ついてくるとか、こないとか。
何か良いことがあるかもしれません。
私、脇坂肇をブラック企業から救うのは、
あなたです…!

…あれ?

脇坂肇