2020年11月20日 更新
#19
気づいたらブランディング。
最近、「銭函」っていう名前を耳にする機会って
増えていますか…?
カラダがほぼ銭函でできているんじゃないか
っていうくらい、
私はこの街にどっぷりなので、
ちょっと客観的に感じづらいのですが、
「銭函がアツいって最近よく聞きますよ」
なんていう言葉を
周囲からかけてもらうことが増えてきました。
確かに建築ラッシュですし、
札幌の人気ショップが立て続けに移転してきたり、
なんだか盛り上がってきています。
先日は北海道新聞で
銭函の活況が取り上げられていました。
こ、これはまさか…バ、バブル…?
銭函バブルの到来なのか…?
「カトルフィーユ」という名前をご存知の方、
なかなかのパン好きとお見受けしました。
もともと円山にあって、
2020年の春に銭函に移転してきた人気パン屋さんです。
パン好きの間ではちょっとザワザワしたとか。
「なんで、あのカトルフィーユが銭函へ…?」と。
実は建物の施工を弊社でやらしてもらっています。
あ、私が暗躍してカトルフィーユさんを
引っ張ってきたわけではなく…。
店主のご夫婦が海に近いまちのご出身で、
海が大好きだったことが
銭函を選んだ理由の一つだそうです。
さすがの人気店、
早速銭函の人気スポットになりつつあります。
もうひとつ移転してきた人気店といえば、
二番通り酒店さんです。
こちらはワインにとってより良い環境を求め、
札幌の街中から移転されてきました。
いまや全国的に名が知られているワイン屋さんで、
道外からもお客さんが足を運んでいるそうです。
すごい!
こちらの建物も脇坂工務店で施工させて頂いています。
他にも、キャンピングトレーラーを使ったカフェ
「ZENIBAKO BASE」や、かき氷店「カモメ」、
ミシュラン1つ星のフレンチがプロデュースし、
弊社の銭函オフィス1Fに入っている
「銭函珈琲」などなど、
人気店が銭函にはたくさんあります。
休日の人通りが増えている実感もありますね。
銭函のコインパーキングは週末満車続きですし。
私たちが銭函に拠点を構えたのは2000年のこと。
当時から、もう少しちゃんとアピールしていけば
もっともっと人が増える場所なんじゃないか、
という考えは持っていました。
あとは単純に、自分自身が銭函に惚れたわけです。
好きな場所は、
もっとみんなに知ってほしいじゃないですか。
独り占めしても楽しくもなんともないですから。
や、この20年間、自分たちが
“まちづくり”をしてきたと言うつもりは
毛頭ありません。
役所とコラボして何かやってきたわけでもなく、
民間企業として、やれることをやってきただけ。
だいたいの商売って人が来てナンボです。
人がいないと商売になりません。
つまり私たちなら、
建築屋として建物を建てる、ってことですね。
ごくシンプルなことです。
結果、ほんの少しだけ銭函の役に立てたのかも、
と思っているくらいですよ。
微力です。微力。
ドミノ倒しだって、
最初のドミノを倒す力はほんの小さな力。
それが結果的に広がって良い結果につながってきた、
ってことですかね。
もともと銭函には
いい感じにドミノが並んでいたわけです。
個人的に潮目が変わったと思うのは、
12,13年前、当時海沿いにあった事務所に
コミュニティカフェを作ったことでしょう。
その誕生のきっかけは、
当社のお客様の一人Sさんという女性です。
彼女から
「脇坂さんの事務所の1Fのスペースを使って、
フリマをやりたいから貸してもらえないでしょうか?」
という相談がありました。
そうやって有効活用してもらうのは
ウェルカムなので、喜んで貸したんです。
無料で。
無料で。
あ、しつこいですね。
後日Sさんが音頭を取って、
雑貨や飲食、ファッションなどが出店する
フリマが何度か開催されたわけですが、
まあ人が来るわ来るわ。
大変な賑わいを見せるようになりました。
そんな様子を見て今度は私からSさんに
「常設で店をやってみない?」
と持ちかけたのです。
それが「ZENIBAKO STYLE CAFE」です。
そこでは料理、アロマ、英会話、アクセサリー制作などの
教室が開かれて、
あたかもカルチャースクール的なものに
なっていきました。
このカフェで大きかったのは、
銭函が地元の人たちや、それ以外の人たちの
交流の場になったことです。
人が関われば、自然と何かしら生まれていきます。
何より、銭函に暮らす人からすれば楽しい。
また、当時の事務所は
“キャンプ場”として開放していました。
思い切って1Fに宿泊設備を整えたんです。
しかも無料ですよ、奥さん!
よっ!太っ腹!
(誰も言ってくれないので、自分で言っておきます)
海を眺めながらBBQができるスペースがあって、
仲間たちとわいわい過ごすことができる空間でした。
利用できるのは弊社のお客さま限定なのですが、
その友人や知人の方であれば一緒に宿泊OK。
すると、銭函以外に住んでいる方は
そこで海を眺めながらお酒を飲んでいると
「銭函っていいなぁ…」
って感じるようなんですね。
そのせいか、
じわじわ銭函のファンが増えていった気がします。
海を見ながら口説くのと同じですね。
違うか。
他にも銭函マップの制作を応援しています。
これは前述の女性Sさんが
編集&ライターの方と企画したもの。
銭函エリアのありとあらゆるスポットが
網羅されているマップです。
ローカルじゃないと知らない場所も
たくさん載っていて、なかなか面白いんです。
そんなマップを作るなら、
私も一肌脱がないわけにはいきません。
ということで協賛させて頂いております。
ただ、社名は極力小さく入れてくださいね、
ってお願いしました。
企業色が薄いほうが、純粋にマップを
楽しんでもらえるからですね。
「脇坂が裏で操っているのでは」
と思われたくないなと思って…。
現在4号までリリースしています。
え、どのくらい協賛しているかって?
●●●●万円です。
1234万円かもしれないし、
0.123万円かもしれません。
ご想像にお任せします。
というか、社名を小さく入れてのくだり、
ここで書くと逆に
大声でアピールしてるみたいですね…。
ここまで紹介した活動は、
当然緻密な計画に基づく企業としての
戦略的投資の一環…
…なわけがありません。
もちろんオボロゲながら戦略的なものは
頭の中で描いたりもしますが、
その通りにはいかないものです。
それよりも、
みんなで集まってワイワイやっているのが好き。
だから、楽しいほうへ、楽しいほうへ、
舵を切っていったというのが正直なところです。
で、気づいたら、
自然と銭函が好きな人が増えてきた気がします。
当社も銭函で建物を建てる機会が
ポツポツと増えていきました。
ひとつの街でそれなりに長く活動していると、
銭函の地主さんや重鎮の方ともつながりがでてきます。
「この土地の売買、
脇坂さんのところで面倒見てやってくれない?」
という相談も舞い込むようになってきています。
今では、全然知らない不動産屋さんから
「あの、銭函の土地を買って欲しいんですけど…」
という相談が年に数件舞い込むくらいになりました。
「銭函の不動産や住まいといえば、脇坂工務店」
といったイメージができているのかはわかりませんが、
ご相談に対して何とかできるくらいには
この街に詳しくなったと自負しています。
そうそう、銭函の重鎮の方からは、
「脇坂さん、こんなところ(銭函駅前)に
社屋建てたからには、
あんた、もちろん銭函に骨埋めるんだよね?」
と真顔で聞かれました。
間髪入れずに、全力で首を縦に振りましたよね。
さもなくば、
骨を埋めるどころか、
銭函の海に沈められそうな気がしたので。
(冗談ですよ…)
でも、そんな銭函のローカルの人たちからは、
「脇坂さん、あなたのおかげで、
空き地がなくなってきたよ。街が良くなったよ」
と嬉しい言葉を頂きました。
ありがたいかぎりです。
最近は、銭函での仕事は切れ目なくあります。
現在は3つの案件が進行中ですし、
他社さんでも7案件くらい進行中。
他にも銭函で商業施設の建設を計画している
会社もあると小耳に挟みました。
ますます面白い街になりそうです。
これは、きっと…
私のラジオのおかげなのでは…
という冗談はさておき、
世の中では、
「まちのブランディング」とかよく聞きます。
ただ、銭函に関しては、
私や周りの人たちが自然とやってきたことが結実して、
銭函というブランドが出来つつあるという感じです。
気づいたらブランディングになっていた、
ということでしょうか。
取り繕っているようなものがないと思うんです。
冒頭で「バブル到来」なんて冗談を言いましたけど、
これだけ地道な活動がベースにあるから、
ちょっとやそっとじゃ、
この価値は揺るがないと思っています。
銭函って典型的な名所がないけど、
実は歴史は古いんですよ。
開拓使が最初に事務所を作ったのが銭函だったりして。
とはいえ、歴史ばかりにすがっちゃうと、
うまくいかない気がします。
道外の観光客や海外の人とかが来てくれるのは
もちろん大歓迎なのですが、
北海道の人たちがやって来てくれる場所に
なれるといいですね。
地元の人が来たくなる町って素敵じゃないですか。
結果、色々な新しいことが生まれて、
それにさらに人が引き寄せられてくる、
みたいな流れが健全だなぁと思っています。
そして建築屋としては、
ここに住みたい人を増やす。
これに尽きます。
そのために今もやりたいことがありすぎて、
体一つじゃ足りないです。
影武者欲しいです。
いや、既に影武者がいるのかもしれませんよ…。
ラジオに出演している彼だって実は…。
(突然のホラー)
脇坂肇