2020年8月24日 更新
#16
ロゴマークと羽織袴。
当社のロゴマーク。
吹き出しの上に屋根が乗っているアレです。
初めて会う方と名刺交換すると、
「素敵なマークをお持ちですね」
とか
「これ、どういう意味なんですか?」
とか
「家紋ですか…?」
とか、よく質問を受けます。
今回はこの誕生秘話をお話しましょう。
実はマークの裏には、
私の壮大な野望が潜んでいるのです…。
いつの日かあの場所に招かれるための布石…。
かつて使用していたロゴマークをご存知の方、
どれくらいいらっしゃるでしょうか。
15年間ほど、グリーンのロゴマークを掲げていました。
創業期はリフォーム事業から出発しているので、
特にエンドユーザーとのつながりを重視していたんです。
だから一般の方にも親しみやすいものを、
ということであのロゴを作ってもらった、
そんな記憶があります。
自分たちの立ち位置を「敷居の高いフレンチ」ではなく、
「大衆居酒屋」だと思っていたので。
もしくはスーツをバシっと着こなしている
というよりは、
海パンをはきこなしている感じです。
いや、それは違うか。
ともかく、馴染みやすい感じを意識しました。
その後事業が順調に推移していき、
設計事務所と付き合うようになっていきます。
「建築家とつくる家」と銘打って
NEO DESIGN HOUSEという
新築戸建の事業を打ち出し始めたのですが、
そのあたりから会社の現状とロゴが
ちょっと合わなくなってきているかな…
と感じ始めてきました。
私たちを見てくれる人たちのタイプが
また少し変わってきていたのが大きかったです。
とはいえ従来の仕事も続けていますので、
ガラリとシャレオツな感じにするのは違う。
大衆居酒屋もやりながら、
ちょっと小粋な割烹もやるみたいなことなので。
服装に例えると、
アル●ーニのスーツに突然着替え始めるのではなく、
海パンにジャケット合わせる感じです。
いや、違いますね。
あ、もういいですね、この例え。
ともかく、ちょうどよい塩梅にしたい。
うちは工事屋だから、その立ち位置も
きちんとわきまえる必要もあります。
「今のうちの会社にふさわしいロゴマークって
どんなのかなぁ…」
とは常日頃思っておりました。
そんなことをぼんやり考えている最中、
当社の企業スローガンを作ることになりました。
小樽ビールのコピー
「誰にも似ていない」に憧れていたもので…。
商売をやってきて長年の夢だったんです。
その顛末は以前書いた
「『話のわかる』までの話。」が詳しいです。
そして、スローガン「話のわかる工務店」が
無事に決まったタイミングで、
これを書いてくれたコピーライターのTさんから
「言葉にあわせて、
ロゴマークも刷新されると良いのでは」
と提案がありました。
おお、これは渡りに船。
依頼するデザイナーとして
Nさんという方の名前がTさんからあがりました。
Nさんの所属は少し変わっていて、
彼は飲食事業を展開している会社の取締役と、
その店舗まわりのデザインを管轄しているトップ。
さらには自社以外のデザインも手掛けています。
デザインと商売をきちんとリンクさせて考えられて、
流行りだけを取り入れた表層的なデザインはせず、
機能するロゴマークを作ってくれる。
Tさんからそう推薦されたので、私は快諾。
札幌のデザイン業界で売れっ子の一人、
多忙を極めるNさんを
Tさんのつながりでお願いすることに成功しました。
この良い人から良い人を紹介してもらう
芋づる式が一番いいと思っています。
だって、グラフィックデザインのこと
私わからないですから。
餅は餅屋ですね。
そしてNさんから提案されたのが、
あのロゴマークだったのです。
吹き出しの上に屋根がついたロゴマーク。
「話のわかる工務店」という企業スローガンに基づき、
私たちとお客様との間で積み重ねた会話が土台となって、
家が建つことを表現しています。
最初に言葉、つまりスローガンを決めていたので、
ロゴマークを決めるのもスムーズでした。
さらにNさんは封筒などのツールにも
ロゴマークを配置して、
その吹き出し内にメッセージを書けるような
遊び心ある仕掛けも施してくれました。
このマークの提案を受けた時、
まさにちょうどいいと感じました。
和ぽくあるし、洋ぽくも見える。
伝統があるようにも見えるし、新しくも見える。
不思議な調和のとれたロゴです。
Nさんには申し訳ないのですが、
提案時に他の案もいくつかあったものの、
正直言うと記憶に残っていません…。
それくらい現在のロゴを気に入っていて、
自分たちに馴染んでいる証拠だと思っています。
で、新しいロゴマークとスローガンを作って
お披露目したら、冒頭のとおり、
色んなリアクションを頂くようになりました。
正直、以前の緑のマークの時は
特段何も言われなかったので、
ささやかな変化ではあるものの、
手応えをひしひしと感じています。
そういえば、「家紋ぽい」と言われた
このロゴマークにはちょっとした余談が。
友人の一人に落語家さんがいまして。
立川談春師匠という方です。
もうすっかりお茶の間でもお馴染みですよね。
談春師匠がああやってテレビに出る前からの
つながりなんです。
2013年、お酒の席を共にしていた時、
「来年脇坂工務店さん、創業20周年なの?
僕も周年なんだよね。
何かいっしょにやりましょうよ!」
なんて話で盛り上がっていました。
後日、それをすっかり忘れていた頃に、
「道新ホール押さえたから!」
と談春師匠から突然連絡が。
あれよあれよと言う間に、
脇坂工務店プレゼンツの落語会を
開催する運びとなりました。
開催2週間前には再び連絡があり、
「脇坂さん、紋付袴持ってる?
口上の時は、みんなその格好だからさ」
「モンツキハカマ…?
いやいや、カタギの私がそんな大層なもの、
持っているわけないでしょう!
というか、口上を私もやるんですか…?」
と焦る私。
本番では、一生分の嫌な汗をかきました。
なんでプロの落語家たちに囲まれて、
私はこの舞台にいるんだろう…。
でも忘れがたい記念になったのは間違いないです。
で、その時は紋付袴なんてないので、
スーツで舞台にあがったんですね。
というか汗だくになったので、
海パン一丁であがると良かったのかもしれません。
ただ、無事に落語会が終わった後も
談春師匠の
「紋付袴、持ってないの?」
という言葉は私の頭に残り続けていたのです。
それはきっと「作りなさい」っていう天の声だな!
と解釈した私は洒落で作っちゃいました。
日本の第一正装だし、
子どもの結婚式もゆくゆくはあるだろうし。
もちろん洒落とはいえ、ちゃんとした仕立てです。
そこにあのロゴマークを入れたんですね。
(我が家の家紋入りのものも作りました)
作ったものの、結局着る機会はさほどなく、
着用したのは今までで2回だけ。
1回目はAIR-G’の正月特番ですね。
まあ、ラジオだからむしろ
ジャージとか海パンとかでもいいんですが…。
気分です、気分。
2回目は創業25周年ライブを
同じく道新ホールで開催した時。
この時はロゴがはいった半纏も作って、
従業員みんなに着てもらいました。
それはそれで壮観でしたし、良い思い出となりました。
というわけで、次に再び落語会で口上をやる時は、
「ちゃんと紋付袴がありますよ!」
と談春師匠にドヤ顔できるなと…。
あれ、なんの話でしたっけ。
そうだ、ロゴマークの話でした。
話が脱線しましたが、
その紋付袴なり、半纏なりにロゴマークを入れても、
意外なほど和にも合うんですよね。
単体で見ると、そこまで和ぽくないのに不思議です。
手前味噌ながら、
なかなか稀有なロゴマークなんじゃないかなと。
これから先、私たちの会社が
何周年までいけるのかは神のみぞ知る、
といった感じですが、
ずっと長く付き合えるロゴが生まれて本当に良かった。
私は、会社の成長にあわせた
“見た目”が必要だと思っています。
中身が変われば、外見も変わらないといけない。
肝心なのは、その外見と中身が一致していること。
外面だけ良いとかはカッコ悪いですからね。
それは会社の「自分たちらしさ」を表現するもの、
と言い換えていいのかもしれません。
こういったクリエイティブ、
コピーやデザインや写真にお金をかけるかどうかは、
経営者それぞれの価値観によると思います。
もちろん、
ちゃんとクリエイティブを整えていない=悪ではない
と思います。
ただ、会社を代表するものだから、
ちゃんとした人に、ちゃんとお金を払って
作ってもらうべきだと私は考えています。
経営とは広い意味でコミュニケーション。
社外の人たちに自分たちの価値を認めてもらうためには、
まずは伝えなければならない。
だから、これからも「いいもの」を作っていきたいです。
そう、そして今後の自分の頑張り次第で、
天皇・皇后が主催される園遊会に
呼ばれる可能性もあるわけで。
その暁には、ロゴマークの入った
紋付袴でいざ馳せ参じたいところです。
(半分本気)
あと、紋付袴での接客をご希望の方、
お知らせください。
オプションで承っております。
(けっこう本気)
脇坂肇