「話のわかる工務店」がわかる話

お客さまとの話。職人との話。取引先との話。地域の話。お金の話。家づくりの参考になればと思い、「話のわかる工務店」がこれまで語って来なかった話をご紹介します。これで脇坂工務店のことを少しでも知っていただければ幸いです。

脇坂肇

2019年12月19日 更新

#8

土地の神様。

脇坂肇

あなたは、神様を信じますか?

あ、ものすごく怪しいですね。
や、そんな話から入ったのも、
今回は土地をめぐる
「縁」の話をしようかなと思ったからです。
つまりですね、私は土地の神様がいると思うんです。

あ、ちょっと待ってください。
いま、このWEBサイトを閉じようとしましたね。
まあ、聞いてください。
私は別にスピリチュアルが大好き!
というわけではないことをお断りしておきます。
まあまあ、ひとまず読んでみてください。
家といっしょに高価なツボとか勧めないですから。

地鎮祭という言葉を耳にされたことがある方も
多いのではないでしょうか。
土地を清めるため、
また、神様にそこに建物を建てても良いか、
許しを得るための儀式です。
昔から建築業界に残っている文化のひとつですね。
また、工務店の仕事って危険と隣り合わせなので、
脇坂工務店は毎年一年のはじまりに、
銭函の豊足神社で安全祈願祭をやっています。
神様を意識する機会が他に比べると多い。
そんな業界に身を置いていると思っています。

そんな私が
「やっぱり土地には神様がいるんだなぁ」
と改めて思った7年ほど前の出来事です。

はじまりは、
札幌市内でも屈指の人気エリアに出てきた不動産物件。
中央区の地下鉄駅から徒歩8分ほどで、50坪弱。
なかなかお目にかかれない好物件です。
当時は坪50万円くらいでしたけど、
いまや坪100万円くらいじゃないでしょうか。
それくらいの人気エリアです。
もともと古いアパートが建っていて、
最後の1世帯の方も退去されることになったので、
脇坂工務店が取得した物件でした。

取得後、建築条件付きの土地として
ネットで募集をかけたところ、
あっという間に15人ほどから問い合わせが。
こういった時、私のマイルールとして、
1番最初に手を挙げてくださった方と
商談を進めるようにしています。
当たり前ではあるのですが、そこは絶対守っています。
今でも覚えていますが、
この物件の時もお一人強烈な方がいて、
その方は確か3,4番目に問い合わせをされてきました。
「今すぐ現金で払う!
いや、なんならお金を上乗せするから売ってくれ!」
とすごい剣幕で仰ってはいたものの、
私は丁重にお断りしました。
札束で顔を叩かれても、うんとは言わないですね。
順番は順番です。
お金を最優先にせず、打算的な考え方をしない。
昔から商人として大事にしていることです。
え、私が大ファンの女優さんからの頼みだったら?
もちろん、首を全力でタテに振りますね。
おまけに家をもう一軒サービスすると思います!

冗談はさておき、
そんなこんなで最初に申し込まれた方と
話を進めていきました。
建物の設計打ち合わせもあらかた済んで、
いよいよ本契約を交わすその日に事件が起こります。
契約当日になって、その方から
「やっぱりキャンセルしたい」
と連絡が…。
親族から反対されたようなんです。
私も人間なので、
「ええええええええええええ!」
と思いながら、
男の美学は痩せ我慢ってことで、
平然としていました。
まあ、起こってしまったことは仕方ないです。

で、振り出しに戻るわけです。
すぐに再び販売告知をWEBで行ったところ、
またすぐに10人ほどから問い合わせが。
やはり超人気物件です。
そして、初回と同じように1番目の方と
商談と打ち合わせを進めていきました。
すると、ふたたび事件が。
「すいません、やっぱりキャンセルしたいんですが…」
聞くところによると、親に反対されたそうです。

そうですか。
まあ、もはや何を言っても仕方ありません。
ニッコリ微笑みながら、
承知しましたと回答したのです。
(とは言え、
良い子は安易にキャンセルしちゃダメだぞ!)
ちなみに私の経験上、
親や親族からの反対って結構ありますから、
話が進む前に相談や共有などをおすすめ致します…。

立て続けに一度ならず
二度もよろしくない形でキャンセルが起き、
「呪われてるんじゃ…」
という考えが脳裏をチラリとよぎりましたが、
それもこれも、すべてはこの後の出会いにつながる
プロローグだったんだと今となっては思うわけです。
そう、私は運命の人と出会うのです。

同時期に弊社で手掛けた戸建てがあって、
オープンハウスを実施していました。
ある日、そこにいらっしゃった一組の若いご夫婦。
ずいぶんシュッとした身なりだなぁ、
と感じたことをよく覚えています。
それがきっかけで脇坂工務店とつながり、
例の人気物件の存在を知ったお二人も
エントリーされたんです。
キャンセルされた方に次いで、二番手でした。

なので、二度目のキャンセルが出た後、
私はそのご夫婦と契約の話を進めていきました。
あとで判明したのですが、
そのご主人、若くして市内で何店舗も
飲食店を経営されている経営者の方だったのです。
仮にKさんとしましょう。
Kさん夫妻は、
ずっとそのエリアで土地を探していたそうです。
ここまでお話した通り、運良く物件が出てきても、
人気エリアだからかなりの激戦、倍率になります。
この物件もトータル25名の人が
買いたいと手を上げたわけですから。
そこを勝ち抜いて理想の土地を手に入れたKさん。
優れた経営者の方って、
運気が非常に強いなぁと思いますね。
引き寄せる力が強いというか。
私はそんな光景を幾度となく目の当たりにしてきたから、
「土地の神様がいて、その土地を手に入れることを
許してくださっているんだろうなぁ」
と思うようになったのかもしれません。

話はここで終わりません。
弊社の菊地さんがKさん邸を担当して、
家の建築も非常にスムーズにいきます。
その後、Kさんが経営される飲食店の
小規模修繕についても
ちょこちょこお手伝いさせて頂くことに。
結果的に、現在は新店の建設もやらせてもらっています。
不思議と私たちがお手伝いしたお店、
繁盛しているそうです。
もちろんお店の方々の努力によるところが
大きいのでしょうが、
そういう結果が出ると、工務店冥利につきますね。
商売繁盛に建物で少しは貢献できたと思うと、
めちゃめちゃ嬉しいのです。

「マジですか…」
と思うようなトンデモないことが最初にあっても、
最終的にはこうやって恵まれたことにつながる。
Kさんも運気が強い方だと思いますが、
何より運気が強いのは、私なのでは…。
あ、ここで自慢すると運気が下がりそうですね。
神様、聞かなかったことにしてください。

仕事をしていると、
神様に選ばれたような感覚を覚える時があります。
あ、変な話じゃないですよ…。
なんというか、自分にとって
当たり前のことを大事にしていると、
自然といい結果になると言いますか。
例えば、先ほどの土地の話。
必ず私は最初に手を上げてくださった方と
まず商談を進めるとお話しました。
そこは商人として当たり前のことなんです。
もし悪いことが起きても
「ああ、それは縁がなかったんだな」
と思っていたら、
最後の最後には良いめぐり合わせに落ち着く。
そういう時は、
土地の神様のおかげなんだろうな、
土地の神様に選んでもらえたんだな、
と思うようにしています。
自分の力量を誇るより、
そのくらいに物事をとらえていたほうが、
慢心を戒められて良いのではないでしょうか。

私が、ここまで信心深いのは、
ひょっとしたら名前のおかげかもしれませんね。
なぜなら、「肇」という名前は、
札幌の三吉神社でつけてもらったものなんです。
私の子どもたちもみんな
三吉神社で名前を決めてきました。
あと、三吉神社の総本山って秋田にあるのですが、
秋田は私の奥さんの本家があるところ。
そのあたりにも不思議な縁を感じます。

すべてのことは、
ただの偶然と言ってしまえばそれまでですが、
私はそれを良いほうに捉えるんです。
スーパーポジティブ。
脇坂工務店の銭函オフィスが建っているのは、
銭函の駅前、ほぼ駅直結と言っても
過言ではないような場所です。
北海道の中では歴史のある銭函で、
あんな超一等地の土地を譲り受けられたことも、
土地の神様が認めてくださったからだと思うのです。
だからこそ、
素直な心でいないといけない、
お金のことが先にきてはいけない、
なんて、社屋を見るたび感じます。

これをお読みの方の中には、
なかなか理想の土地に巡り合わないと
嘆いていらっしゃる方もいるかもしれません。
大丈夫です。
きっといつかは見つかります。
土地と出会うんだ!という情熱が大事かもしれません。
私が出会った、理想の土地とめぐり会えたお客さまは
皆さんそうでした。
私は今まで数え切れないほどの不動産を見てきましたが、
最近は買うべき土地が出てきたら、
「脇坂さん、買いなさい…」
って言われている気がします。
それは、経験にもとづく勘と言えるかもしれません。
だから、脇坂工務店も
「買いなさい…」と語りかけてくるような良い物件に
お客さまが出会えるようベストを尽くしたいと思います。
まあ、場合によっては土地の神様といっしょに私も
「買いなさい…」
とお客さまの耳元で囁くかもしれません。

土地をめぐる不思議なことってあるんですよ。
信じるか信じないかは、あなた次第です…!

脇坂肇