「話のわかる工務店」がわかる話

お客さまとの話。職人との話。取引先との話。地域の話。お金の話。家づくりの参考になればと思い、「話のわかる工務店」がこれまで語って来なかった話をご紹介します。これで脇坂工務店のことを少しでも知っていただければ幸いです。

脇坂肇

2019年6月25日 更新

#2

たまたま銭函でした。

脇坂肇

「脇坂工務店=銭函」
そんなイメージで語られること、
最近増えています。
「銭函出身なの?」とか
「親戚がいるの?」とか、
よく聞かれるのですが、
実はそうじゃないんです…。
なぜ脇坂工務店が銭函にあるのか。
結論を先に言ってしまうと、
それは「たまたま」。
たまたま…。
ええ、タイトルを見れば一目瞭然ですね。
今回は、その経緯をお話ししましょうか。

20代のころから、
海が見える場所に住みたかったんです。
ずっと札幌、名古屋、埼玉と
都会にばかり住んできましたから、
どこか海への憧れがあったんでしょうね。

銭函との出会いは偶然でした。
ある時、建築仲間が売りに出していた土地があって、
それが銭函の高台の土地だったんです。
海が見えるのがいいなぁと思って
購入を決めました。
私が36歳くらいの頃だったかな。
とはいえ、住まいをいきなり建てるのは
色々ハードルが高いなと思って、
ひとまず小さなログハウスを建てたんです。
そこには週1で通って、
野菜を畑で育てたり、海に遊びに行ったり、
趣味の場所として使っていました。

そんな感じで銭函にゆるやかに入っていって、
「ここは、なかなかいいぞ」と思っていたところ、
銭函の海沿いで別の土地を見つけちゃったんです。
広さもあって、
まさに海が目の前という絶好のロケーション。
ここをオフィスにするイメージが
むくむくと膨らんできます。
当時、事務所は札幌の丘珠だったんですが、
思い切って土地を買い、
引っ越しを決めてしまいました。
今思えば、かなり大きな決断を当時30代、
若かりし脇坂肇はしたわけで。
若さって怖いですね…。
これをターニングポイントに、
脇坂工務店の運命は大きく動き出したのです。

2000年には念願の事務所兼倉庫が完成します。
銭函に社屋を作ったばかりの頃は、
仕事の合間に、よく海で泳いでいました。
海パンにTシャツ着て、デッキで日光浴をすることも。
想像してみてください。
街なかでそんなことしている会社経営者いたら、
「あの会社ヤバイわ…」
とヒソヒソ言われそうですが、
銭函の空気だと許さる気がするんですよね。
ええ、ぜんぶ銭函のせいです。
当時は「日本一海に近い工務店!」
なんて言い張ってました。
若さって怖いですね…。
海に近いというか、海に入ってますからね、社長が。

このように自分の好きなことを求めていったら、
流れで銭函に拠点を構えることになった。
そうなんです、言ってしまえば
「たまたま」ってことです。
ただ、海沿いにオフィスを構えた時期から、
次第に面白いことが起こり始めました。
「海のそばで生活がしたい」
という同じ想いの人が、
工務店を訪ねてくるようになったんです。
年間5〜10組くらいでしょうか。
特段、広告などで
アピールしていなかったのにも関わらず、
「私たちも銭函で暮らしたいのですが…」
と相談されるようになってきました。
その時、気づいたんです。
自分と同じく、
海が好きな方は一定数いるんだってことに。

かつては海沿いの家なんて
「ザ・お金持ち」のイメージでしたよね。
海辺に建つ別荘、みたいな。
そこで、私は逆のことを考えました。
「ふつうの人」でも
海辺の暮らしが手に入ることを
証明してやろうじゃないか、と。

2006年頃から、
新築や不動産にも力を入れ始めたのにあわせて、
会社として銭函を打ち出していく方針に
舵を切っていきます。
となると、色んな場所やメディアで
銭函のことをアピールするのは
もちろん必要なのですが、
それ以前に自分たちの会社と銭函との距離を
もっと縮めなければならない。
そこで、事務所を使って、
色んなことを始めました。
ひとつは、倉庫として使っていた1階を
常設のカフェに改装したこと。
地域の人が集えるコミュニティスペースにして、
料理やアロマテラピーの教室などを
開催できるようにしました。
あとは、2階を空手道場や
ダンススクールに貸し出したり。
海沿いに2階建てのデッキを作って、
音楽イベントなどができるようにしたり。
極めつけは、
1階にキッチンやシャワールーム、
外にはBBQのための竈を用意して、
ゲストルームとしての設備を整えたこと。
脇坂工務店のお客さまには、
そこを無料で使っていただけるようにしました。
当時は、
「家を建てたら、おまけで別荘がついてくる!」
なんて言ってましたね。
こうして、あれやこれやと場をつくることで、
地域の人との接点が増え、
私たちも少しずつ銭函の一員になれたような
気がしています。

いまや銭函は、
移住してきた人のほうが多いなんてことも
言われますが、
比較的オープンマインドというか、
他所からやってきた人に対してウェルカムな風土。
そうじゃなければ、私たちも
早々に引き上げていたんじゃないかって
思うんです。

こうした取り組みを知った方からは、
「目の付け所が良かったね」
なんて言われることもあります。
でも私は、
「山も海もすぐそばにあって、
電車で札幌までたった20分。
こんなに魅力的な土地は他にないのに、
なんでみんな注目しないんだろう?」
と逆に不思議に思うくらいでした。
成り行きで巡り会った場所だけど、
時間を過ごせば過ごすほど、
ここはすごい魅力がつまっている場所だぞ、
ブランドになるぞ、
って確信に変わりましたね。

手前味噌で恐縮なのですが、
銭函に昔から住む人に
「脇坂さんが来てから、街の風景が変わった」
「街が綺麗になったよ」なんて言われます。
また、銭函に古くからあるお寺の住職さんから、
お酒の席でこんな言葉をかけられました。
「これまでも、
銭函で何かをしようとする人をたくさん見てきた。
イベントやったり何か建てようとしたり。
でもね、
銭函の街全体を売り出そうとするやつは、
脇坂さん、あなたが初めてだよ」
って。
住まいに関わる仕事をしている身としては、
街の風景をつくるお手伝いができているのは、
もちろん、うれしいです。
でも、ただ淡々と自分の仕事、
できることをやってきた結果だと思っています…

…って言うと、カッコ良いですかね。
(でも、本当にそう思っています)

銭函の弱点を強いてあげるとすれば、
賃貸の物件が少ないことですね。
それもファミリーで住めるような住宅が少ない。
なにせ2009年以降に建てられた賃貸アパートは、
1つしかなかったですから。
かたや、銭函に興味を持ってくれる人、
住みたいと声を上げてくれる人は沢山います。
これは残念な状況と言うか、
もったいないと言わざるを得ない。
そこで、わが社は
自ら賃貸物件を2つ建てることにしました。
2016年に銭函駅前のマンションを、
2019年にはアパートを完成させています。
おかげさまでいずれも
ご好評をいただいています。

多くのお客様とお会いしていると、
男性はロマンチストで、
女性が現実的だなと感じます(脇坂肇調べ)。
旦那さんが
「海が見える場所に家を建てよう!」
とか言っても、
奥さんが
「買い物、どうするのよ!」
と現実的な問題を気にされる。
どちらのお気持ちもよくわかります。
(脇坂家もそうですし…)
であれば、「お試し」として
銭函の賃貸物件にまず住んでみて、
それから移住を検討するのが、
いいんじゃないかって思ったんです。

実際、銭函への移住を嫌がる奥さんを、
2年がかりで説得した男性がいらっしゃいます。
そのご夫婦が移住した結果
どうなったかっていうと、
奥さんのほうがむしろ銭函大好きになっちゃって。
自然の豊かさはいわずもがな、
都心へのアクセスも悪くないし、
子育て環境も充実していますからね。
遠方からわざわざ入園する子どもいる
「かもめ保育園」をはじめ、
良質な保育園の数も多いですし。
そして、お子さんが大きくなってきたら、
次は「じゃあ、家を建てるか」
という順番ですよね。
そこで脇坂工務店の出番です!

…と言ってはみたものの、
気の長い話なので、
ビジネス的には正解じゃないのかも。
でも、そういう自然な流れで
銭函への移住を決めるほうが、
納得感があって良いと思っています。
私たちの商売は二の次。
最優先すべきは、
お客さまにこの銭函で幸せな暮らしを
おくっていただくことですから…

…と良い人アピールもできたので、
今回はこのへんで。

あ、最後に広告です。
銭函で家を建てたい時・借りたい時はこちらまで。
脇坂工務店 TEL:0120-711-525
(商売は二の次ですが、大事です)

脇坂肇