2019年4月1日 更新
#1
私、脇坂肇は一体何者なのか。
AIR-G’をお聴きの皆さんからすると、
脇坂工務店の社長、脇坂肇という人間は、
「なんだかよく喋る社長」
というイメージかもしれません。
「あの人、ホントに素人なの…?」
とAIR-G’に問い合わせが
入ったこともあるそうです…。
脇坂工務店のことをもっと知っていただくために、
今回筆を執ることにしたわけですが、
まずは私がどんな道を歩んできて、
なぜ今こんなことになっているのか。
(こんなこと?)
それをお伝えするのが、
結果的に会社のことをご理解いただく近道かも、
と思いました。
自分で言うのもなんですが、
工務店の社長としては少し不思議な経歴です。
今回は、その話に少々お付き合いください。
私のキャリアのスタートは、住宅業界ではなく、
高卒で入社した某百貨店でした。
本当のところ大学に行きたかったのですが、
家庭の事情で諦めたんです。
ただ、最初に職場として選んだこの百貨店が、
私にとっての“大学”になったし、
自分の商売人としての姿勢を決定づける場所になった
と今でもつくづく思います。
職場では商人の心構え、商売の心構え、数字の管理を
徹底的に叩き込まれました。
具体的な仕事の中身は各売り場の担当です。
扱う商品は、お酒・加工食品・お菓子などさまざま。
「脇坂くん、明日からお菓子じゃなくて、洋服担当ね」
みたいなこともありえる職場でした。
ただ、商売の原理原則を身につけさえすれば、
扱う商材が変わってもやるべきことは
同じなんだなって途中で気づきましたね。
売り場担当になると、仕入れ値、売価、粗利率を
常に考える必要に迫られるわけです。
しかし根底にあったのは、
いかにお客さまに喜んでもらうか、ということ。
商品の対価としてお金をいただく、ということは
もちろんあるけど、
それ以上にお客さまに喜んでもらうことが
嬉しかったですねぇ。
「これが欲しかったんだよ!」とか
「安くなってて嬉しいなぁ」とか。
思い返せば、
それが自分にとって商売の原体験なんでしょうね。
今は工務店として、
住まいという商品をご提供していますが、
いかに喜んでいただくかを大事にしています。
「住宅にまつわる幸せを生み出すこと」が、
自分たちの使命だと真剣に思ってるんです。
ものすごく綺麗事に聴こえるかもしれませんが、
そこは本当に大事にしていますね。
ラジオのいつもの私からは、
想像できないかもしれませんが…。
百貨店を辞めた後は、水産会社へ転職しました。
ええ、住宅業界はまだです。
当時の脇坂青年は手に職つけたかったんです。
入社2年目には店の責任者になり、
鮮魚を仕入れる仕事を担当することになりました。
ちなみに「商品」として見た場合、
鮮魚の特徴って何かわかりますか?
それは、
「魚という商品は3日も経てば腐る」ってことです。
だから、仕入れの瞬間がものすごく緊張しました。
市場で魚を目の前にしたら、
瞬時に判断しないといけないんですよ。
「このくらいの値段で、これだけの量を仕入れて、
売値をこんな感じに設定すれば、
●●円くらいの利益が出るな…」
という具合に。
見誤ると売れ残り、値引きしないといけなくなる。
下手すれば赤字になるような
値段で売らないといけない。
ものすごいプレッシャーです。
ここだけの話、
水産会社を辞めた時に一番ホッとしたのは、
「ああ、もう市場に買い付けに行かなくていいんだ」
ってことです。
そんな環境で揉まれていたから、
自然と判断が早くなったのかもしれませんねぇ。
そんな経験が家を建てる仕事に
どう生きているのかというと、
「これはお客さまにとってメリットがあるか?」
ってことを色んな角度から、
すぐに考える癖がついています。
あとは、相場を読むというか、
住宅にまつわる流行を見極める力にも
つながっている気がします。
例えば、太陽光パネルのように
住宅業界にも“流行りもの”があるわけです。
それが、今「買い」なのか「待ち」なのかは
慎重に判断するほうだと思います。
なぜなら、その時点で良くても意味がないからです。
一番肝心なのは、お客さまが家に住んでからの暮らし。
長期間で見た時に良いかどうかで
判断しなければなりません。
家が完成した時だけでなく、
住んでいらっしゃる時にも、
「脇坂工務店で建てて良かった」
とずっとずっと思っていただきたいですから。
意外と真面目なんです、こう見えて。
他に水産会社に入って良かったことと言えば…
魚の旬に詳しくなったことと、
魚屋さんとの人脈が築けたってことでしょうか。
あとは…
あ、西京漬けを自分で作れるようになりましたね。
銀だらを一本まるごと仕入れて、
たくさんの西京漬けを作るんです。
レシピ、気になる人がいたら聞いてください。
すごくオトクに簡単に作れて、かなり美味しいですから。
4年ほど働いた水産会社に別れを告げ、
次の転職先として選んだのが某リフォーム会社です。
近しい人が勤めていたから、
という単純な理由がきっかけなのですが、
入社後色々ありました…。
例えば…………………。
えー、ちょっとここでは
言えないようなことばかり思い浮かんできますね…。
良く言えば、ものすごく鍛えられました。
良く言えば。
気になる方は直接聞いてください…。
とにかく、ここでようやく
私は住宅業界に飛び込んだわけです。
(いまや業界歴30年以上になりました)
その後めでたく?リフォームを手がける仕事で独立。
最初のころはリフォームの仕事がメインでしたが、
10年ほど経つと世の中に競合企業が増えてきました。
かたや社内に目を向ければ、職人の数が増えて、
現場監督の力量も上がってきていたんです。
既に新築の家を建てることも
手がけてはいたのですが、
より一層力を入れようと決めました。
不動産の勉強を始めたのもこの頃ですね。
で、うちも新築をやるか、となった時に
冷静に考えたんです。
工法にこだわるというのは
他社さんが既にやっているなと。
私はひねくれているというか、
他の人がやっていないことをやりたい性分なので、
「じゃあ建築家と一緒に建てる家をやろう!」
と思いついたわけです。
かつての建築業界では、
建築家が上、工務店などの職人は下
みたいな風潮がありました。
工務店は建築家の言われたとおりにやるもんだ、
みたいな。
でも、自分たちは
リフォームで培ってきた技術があるので、
ただ闇雲に建築家にYesと言うのではなく、
Noと言える工務店になれるんじゃないかと。
つまり「お客さまのために良い家を建てる」ことを
最優先にするなら、
時と場合によっては建築家のプランに対して
Noと口にする必要だってあるってことです。
「このまま建てると良くないですよ」と。
もちろん、ただNoと言うのではなく、
「それなら、こうしては?」と提案できることも肝心です。
そこで「建築家と創る家」というコンセプトで
ネオデザインハウスというサービスを立ち上げました。
これは設計費に上限を設けることで、
リーズナブルに建築家に依頼できる仕組みです。
その代わり、脇坂工務店はお客さまとのやりとりなど
細かな調整ごとを担い、建築家の負荷を減らします。
(建築家にとってもメリットのあるやり方なんですよ)
イメージは、フルオーダーじゃなくて、セミオーダー。
1から100までこだわりたい!という方は
正直、建築家の方に
直接依頼されるのがベストだと思いますよ。
ちょっとだけこだわりたいなぁという方には、
ネオデザインハウスは
ぴったりのシステムだと自負しています。
最近は、大手ハウスメーカーも
社内規定が厳しいようで、
少し変わった新しい家を建てようとすると、
「そのような家を建てるのはちょっと…」
とできないことが増えていると耳にします。
前例がないことをやると、
失敗やトラブルの可能性が高まるからでしょうね。
かたや、
「あの素材を使って家を建てたい」というように、
今までにないような新しいことを望む
施主や建築家も当然いらっしゃるわけです。
むしろ、脇坂工務店は
そういう挑戦的なものには燃えますね。
他が嫌がるようなこともやっちゃいます。
なぜかって言うと、創業時から手がけていた
リフォームの仕事っていわば、
「ダメになったものと対峙する仕事」なわけです。
トラブルのある状態のものをいかにリカバリーするか。
そういうお仕事を数えきれないほど手がけることで、
鍛えられてきました。
ちょっとやそっとのことじゃ、
うちの技術者たちはヘコタレないですよ。
無理難題を言ってほしいですね。
なにせ「話のわかる工務店」ですから!
(あ、お手柔らかにお願いしますね…)
気づけば、ずいぶん長い話になりました。
まとめると、
脇坂肇は、色々やってきた変な経歴だけど、
根っこの部分は変わっていなくって、
お客さまにとにかく喜んでほしい人間、
ってことでしょうか。
第1回目ということで、
ちょっと話しすぎましたね…。
この調子だと、
スター●ォーズみたいになりそうなので
次回は3行で終わるかもしれません。
またお付き合いください。
脇坂肇