2019年9月25日 更新
#5
商売ベタと美学。
「自分は商売ベタなんじゃないか…」
と、たまに考える時があります。
その原因が、
自分のこだわりにあることも分かっています。
「工務店として、住まいに関わる人間として、
かくあるべし!」みたいな、
こだわりなんですが、
ちょっとカッコよく言うならば
「美学」とでも言いましょうか。
今回は、そんなマジメな話をしようと思いますので、
脳内で福山●治さんみたいな
イイ声で再現しながらお読みください。
ほら聴こえてきませんか、
プロフェ●ショナル仕●の流儀の主題歌が…。
(もしくは、情●大陸の音楽が…)
これは事あるごとに言ってることなのですが、
「私たちがやっているのは、
家を建てる仕事ではあるんだけど、
お客様の人生の幸せを叶える仕事なんだ」
ってことです。
そこをゴールにしているから、
おのずと自分の行動も決まってきます。
いくつか例をお話ししましょう。
私、お客様の言うことをある意味聞かないんです。
「え、話のわかる工務店なんじゃ…」
というツッコミがどこからか聞こえてきますね。
いやいや、話のわかる工務店だからこそ、
話のわからない工務店になることもあるわけで。
まあ、私の言い分を聞いてください。
お客さまのご要望を徹底的に聞くのは当たり前。
初歩中の初歩だと思っています。
その上で何がお客さまにとって幸せなのか、
ベストなのかを考えていきます。
そのため、万が一お客さまが
間違った選択をされそうになった時には、
当然のように「ノー!」を言います。
私たちは家のプロ。
技術と経験に基づいて、
間違っていると思うことについては、
こちらの意見をお伝えしなければならない。
そう考えています。
例えば、あるお客さまとのエピソードです。
30代の若いご夫婦でした。
銭函で家を建てる計画を進めていた際、
「1Fをリビング・ダイニングにしたい」と仰ったんです。
それに対して私は、
「ノー!」と言いました。
いや、実際には
「いやいやいやいやいやいやいや、
リビング・ダイニングは2Fでしょう〜!!」
と大阪の漫才師ばりに大声でツッコんだのですが。
というのも、その土地は2Fからであれば、
海が見える絶好の場所だったんです。
であれば、
過ごす時間が長い部屋を2Fに持ってきたほうが、
その土地に家を建てた価値がより一層出るし、
満足度も高いに違いないと。
そのご夫婦の気持ちもわかります。
かつての住宅では、
1Fが生活スペースで2Fが寝室という構造が多くて、
これが今でも固定観念として残っているんですよね。
「買って来た食材とか、2Fに運ぶの大変ですし…」
といったことも仰っていたので、
「良い運動になるじゃないですか。
そもそも2階に上がれなくなったら、終わりですよ…!」
と年上の私が、若者二人に訴えかけました。
その場に、建築家の方が同席していたのですが、
商談が終わった後、
「いやー、脇坂さん、一歩も引かないんだもんなぁ」
と半ば呆れていました。
もちろんケースバイケースですし、
無理強いすることはないです。
ただ、自分としてベストだと思うことは
常にお伝えするつもりです。
お客さまの言われたとおりにやるのは、
工務店としては確かにラクですし、手間もかかりません。
でも、良い選択肢があるなら、
私は言わずにはいられない性分なんですねぇ。
このあたりが
「脇坂、商売ベタだなポイントその1」です…。
私が仕事をしていて、
シビれる瞬間、嬉しいなぁと思う瞬間は、
お客さまから、こんなことを言われた時です。
「脇坂さんのところの見積もりが
一番高かったけど、お願いするわ」
これはリフォームの仕事などで、
お客さまが他社にも相見積もりを
取った際の言葉です。
金額的には一番高いにもかかわらず、
当社を選んでいただける。
こんなに嬉しいことはないです。
工務店冥利につきます、ほんと。
見積もりは、
安ければいいというものではありません。
お客さまにとって、
長期間にわたりメリットとなるような工事を
ご提案できるか、が肝心です。
その点、見積もりは単に数字の羅列ではなく、
真面目に考え抜いた結果と自分たちの姿勢を、
お客さまに伝えるものだと思っています。
あ、ひとつ言っておくと、
他社よりも安くなる場合も当然あります!
お客さまのことを考えていけば、
無駄な工事を省くことができる場合もありますから。
そこは声を大にして言っておきますね。
お客さまから
「うちって、いつリフォームやったっけ?」
なんて、少し不思議な問い合わせが入ることもあります。
なぜなら、当社にはいわゆる“家のカルテ”があるから。
現在顧客数は5,000を超えているのですが、
そのすべてにカルテを作って、
どんな工事を行ってきたか履歴が記載してあります。
だから、そんな問い合わせにもすぐに
「いついつやってますから、
次の工事は来年くらいがいいと思いますよ」
なんてお答えができます。
また万が一、家の所有者が変わったとしても、
「この家のことは、
脇坂さんところに聞けば面倒見てくれるから」
といった具合に引き継ぎにも役立ちます。
このカルテは脇坂工務店にとって財産。
今流行りのクラウドを導入して
どこにいても瞬時に確認できるシステムを構築…
するわけもなく、
今どきすべて紙で残しています…。
効率うんぬんよりも、
こういった貴重な情報は紙で存在することに
価値があると思っているフシがありまして…。
昭和な人間なんです、私…。
(いまだにガラケー使っていますし)
ただ、膨大なカルテが場所をとるおかげで、
これまで会社に社長室が作れませんでした…。
しかし、最近念願叶って、
ようやく銭函オフィスの4階部分に
社長室を設けることができたのです。
大きな打ち合わせテーブルも用意していますから、
銭函の海を眺めながら家の話ができます。
ぜひ、遊びにいらしてください。
なにより嬉しいのは、
スタッフの執務室とは階がわかれているので、
私は居眠りできるってことですね!
“高い”見積もりだったり膨大なカルテだったり、
効率重視とは程遠い話。
ここが
「脇坂、商売ベタだなポイントその2」
でしょうか…。
あと私が商談で口にするのが
「やめときましょ!」って言葉です。
新築だったらお客さまにとって不要な設備もありますし、
リフォームであれば緊急度の低い工事ってありますから、
すぐに「それは今回やめておきましょう」と言います。
もちろん、目先の売上を気にしてたら
ササッとやっちゃえばいいんでしょうけど、
お客さまの人生を長い目で見た時には、
ベストじゃないわけです。
住まいの話をする時は、
いつも数年後に必要なことをイメージしていますから。
例えば、土地を決めるのに迷っている方がいたら、
「お子さんの学校のこと、イメージしてみましょうか」
なんてアドバイスさせていただくことも。
意外とその時点での家族の状況で
土地を選んだり、間取りを決めたりしがちですよね。
もし幼稚園のお子さんがいたとしたら、
その子が高校、大学に進学した時にどうか。
未来を見据えて家を考えるのは大事なことです。
(ちなみに銭函は、札幌も通勤・通学圏内ですよ!)
それくらい「今」にとらわれずに、
話すように心がけています。
息子さんと親御さん、
2世代に渡って脇坂工務店に依頼頂き、
家を建ててくださったお客さまがいました。
リフォームのお手伝いも何度もしていたのですが、
ある時、親御さんが亡くなられたのです。
その親御さんの家の売却を
息子さんから依頼された際には、
私はスタッフに
「仲介手数料はもらわないでおこう」
と指示しました。
長年に渡って本当にお世話になったお客さまなので、
そのお金はいいだろうと。
別にカッコつけようとかは思ってないのですが、
これも長い付き合いがあるからか、
自然とそういう頭になるようです。
私たちは、
お客さまとチームを組んでいるつもりなんですよ。
いい家をつくるチーム。
上も下もなく、
同じ目標に向かっていく仲間みたいな意識でいます。
だから、
「どれだけお客さまのことを知ることができるか」
は、とても大事。
知らないことには本当の希望はわからないですし、
それがわからないと同じゴールに進めない。
だからこそ、
道を間違えそうになったら遠慮しないで言います。
その道が当社にとって
簡単に儲かる道だとしても言っちゃいます。
このあたりも、
「脇坂、商売ベタだなポイントその3」ですねぇ…。
そんなこんなで、
自分は商売ベタなんじゃないかって思うのです。
社会人になってから、
ずっと何かを売る仕事を続けているのですが、
何年たっても商売ってわからないものですね。
なんだか、今回は良いこと書きすぎたなぁ…。
好感度上がり過ぎちゃうなぁ…(半笑い)。
あ、プロフェッショナルとか、
情熱大陸のオファーお待ちしています。
脇坂肇