新築実例集
懐かしさに寛ぎ海を眺める暮らし新築|N邸|小樽市|2006年竣工
「銭函で、海を眺めながら暮らしたい」。希望は非常に明解だった。敷地は道路を挟んで住宅が並び、その向こうが日本海。暑寒の山々も連なる。そのためLDKを2階に置き、続くデッキは海に対して斜め、対角線に配置。石狩方面から緩やかにカーブを描く海岸線と共に、コバルトブルーの世界が視界に広がる。
設計を依頼した奥村晃司さんとは長年の友人関係にあり、「家を建てる日が来たら」と決めていた。イメージは古い学校のような、懐かしさを覚える空間。コスト面と質感の両立を考えて、例えば床の素材はフローリングではなく、あえて構造用合板にするなど素材が吟味されたが、その結果、仕上がり的にも懐かしさを感じる趣となった。
吹き抜けのリビングは実面積よりもゆったり
1階は父親と弟の部屋だが、生活時間帯が異なるためシャワーを設けた。キッチンは2階に1ヵ所で、続くLDに家族6人が集う。来客も多いためテーブルは大きめのものを造作。吹き抜けのリビングは、デッキの開放感もプラスされ、実際の面積よりも広く感じられる。NさんのコレクションであるCDと、奥さんが大好きな絵本が飾れるよう壁面に収納をつくったが、そのディスプレイがインテリアにもひと味加えている。
施工は、奥村さんを通して脇坂工務店に依頼。対応も親身で「信頼できる仕事ぶりだった」と満足している。
設計者からの一言奥村 晃司
家族ぐるみで親好のあった親しい友人家族からの依頼で、互いの生活スタイルもわかり合えているはず?だからと、必要なこと以外は一切口に出さず「お任せします」と言っていただいた。とても嬉しかった反面、かえって僕の小さな心臓にプレッシャーという重荷を容赦なく浴びせてきました。
土地をはじめ、コストカットのための新しい仕上げ、現場の管理者や脇坂社長と繰り返し検討した見積もりなど、お施主さん側の立場で親身になっていただいたことで、やっと着工に漕ぎつけることができました
それも、こちらの要望に迅速に対応して協力していただいた脇坂工務店のお陰です。
SLOW HOUSE
奥村晃司建築計画室
小樽市桂岡町4-28:TEL/FAX 0134-62-0719
http://www.ne.jp/asahi/slowhouse/7/
住宅雑誌Replan vol.79掲載記事