新築実例集
庭を囲むL字型のデザイン住宅新築|I邸|江別市|2007年竣工
庭と車2台分の車庫。その両立のため建築家の飯岡哲司さんが提案したのが、L字型のプランだった。「少しでも庭を広く」という希望を優先し、車庫はあえて縦列型とした。
奥行きのある車庫に沿って、長いアプローチをレイアウト。右側面にはRCの無機質な壁が続き、玄関ドアもその雰囲気に溶け込むようなしつらえだ。それとは対照的に、アプローチの左側は開放的な庭。その対極性が面白い。
さらに庭との境には水盤が設けられており、水面に反射する光が、訪れる者の目を引きつける。
室内に入ると、コンクリートの質感から一転して柔らかな木質に。70代の母が暮らしやすいよう、1階で全てが事足りるプランが練られた。母の部屋は南側の庭に面して配置し、その隣に家族が集うダイニング・キッチン。水まわりも1階に集中させた。2階はリビングを中心に、左右に子ども部屋と寝室という間取り。建具は1~2階とも天井までの高さのある引き戸を多用し、壁に収納されれば広々とした一体の空間となる。
コンクリートの現代的な趣と、珪藻土や木が用いられた室内の自然な空気感。アプローチからはじまった対比の妙が、暮らしのエッセンスとなっていることを感じさせる家である。
設計者からの一言飯岡 哲司
車が大好きなオーナーの希望の一つは、愛車を眺めて暮らせるシチュエーション。それをかなえつつ、北側の防風林、南側の庭の樹木や花を室内から眺めて暮らす「目が喜ぶ生活」を目指しました。
構造は車庫と玄関まわりをRC、住居部分を木造としました。また、室内にガラスブロックを使い、表札用の英字やアンティークの飾りをRC壁に取り付けるなど、いろいろな要素が盛り込まれた住宅です。脇坂工務店の丁寧な仕上げに、技術力の確かさと万能ぶりを再確認しました。
一級建築士事務所
atelier i/あとりえ・あい
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住宅雑誌Replan vol.78掲載記事