新築実例集
高低差と眺めの良さを生かした心地よいプラン新築|S邸|札幌市|2006年竣工
札幌市南区の藻岩山山麓。眼下に市街を望む傾斜地に、2006年の晩秋、Sさんご夫妻と子ども3人が暮らす住まいが完成した。設計者は建築家の奥村晃司さん。約4メートルもの高低差を持つ敷地で、その高低差と眺めの良さを生かした設計となった。
「高低差のある敷地の場合、基礎の高さが目立つ建物になりがちです。しかし、そういう印象を与えないよう、圧迫感を緩和するようなデザイン、フォルムに気を配りました」と奥村さん。建物は土地の傾斜に沿うように3層で建てられた。敷地の高いほうと低いほうの2方向に道路が接して、玄関へは両方からアプローチできる。車は主に北西の高いほうの道路から出入り。その道路レベルを1階として、LDKや洗面、トイレなど日常よく使う空間を配した。玄関や内部物置、浴室などは地階に、2階に子ども部屋とフリースペースがある。また、眺望の良い東側のLDKからの延長上に外部デッキを設けたのも特徴。駐車スペースからもデッキ空間が連続して、玄関やデッキ下のフリースペースへも外部階段で往来できる。外との関係性を大切に考えたプランだ。
室内には、木や珪藻土などの自然素材が使われ、ほっとするような空間が展開する。リビングの吹き抜けが2階と空間を一体化させて、空気の流れもスムーズ。家中に暖房が行き渡って均一に暖かく、地階から給気して2階の最頂部から排気するという換気計画もしっかり反映された設計でもある。
暮らすうちに心地よさが増していくような印象の住まいである。
設計者からの一言奥村 晃司
設計のテーマは「家族」でした。ご夫婦とお子さん3人の5人家族。吹き抜けのリビングを中心とした空間の中で、家族の息づかいが感じられ「ぬくもり」のある家にしたかったのです。熱源はオール電化を採用しました。
4mの高低差がある立地のため、基礎は大掛かりなものになりました。お施主さんの希望もあり、基礎にはフライアッシュコンクリートを採用しました。扱いが難しく、工事には高い技術力と監理能力が必要です。施工をした脇坂工務店は見事に仕上げてくれました。
SLOW HOUSE
奥村晃司建築計画室
小樽市桂岡町4-28:TEL/FAX 0134-62-0719
http://www.ne.jp/asahi/slowhouse/7/
住宅雑誌リプラン vol.75掲載記事