完全防音の音楽室を備えた夢の暮らしの実現例
施主と建築家、工務店の3者が、それぞれの立場から検討し合い、機能的かつ美しい住まいを具現化しようと脇坂工務店が提案する新たなスタイルが“ネオデザインハウス”です。
特に様々な夢や希望をもつ施主の要望をかなえるために、さまざまなアイデアを絞り出すのが建築家が担う最大の役割です。
そうした希望をかなえた実例として、脇坂工務店の本店では木造では難しいとされている完全防音の音楽室を設置。その完成度の高さにプロのアーティストも複数、見学に訪れています。
設計士の狙い
木造住宅で完全な防音室を作るのは、非常に難しい試みです。完全を期するなら、鉄筋コンクリート造にするしかありません。
しかし、鉄筋コンクリート造は木造に比べ建築費が高く、住宅では稀です。一般的な木造でローコストな音楽室を如何に作るかが、今回の目標でした。
音楽室には遮音、吸音、調音の三つのトータル性能が求められます。
まずは遮音性能を高めるために、音楽室のみは一階の床から60センチ程掘り下げた半地下室としました。
札幌市においては、冬期に地面が凍り基礎が持ち上げられるのを防ぐため、地盤面から60センチの深さの凍結深度まで基礎を作るよう法律で定められています。
その60センチの深さまで半地下室にする事は、それほどコストアップとはなりません。それにより、壁の下部が鉄筋コンクリート造となり、遮音性能が木造に比べ遥かに高まりました。
また、上部の木造壁の断熱材のグラスウールは通常の2倍以上の厚みの22センチとし、遮音性能と同時に高い断熱性能を実現、冷暖房エネルギーの消費量を大幅に削減することができます。
遮音上で弱点となりやすい窓やドアは、ピアノを分解搬入できる最小限の大きさとし、かつ二重としました。音楽室内の各仕上げ材料の吸音性能から残響時間を計算し、全ての周波数帯において良好な音環境を作り出しています。
安易に建材メーカーから発売されている高価な遮音材料を使っても効果が上がらない場合もあるので、注意が必要です。プロ向けではない一般の木造住宅の音楽室においては、建築費に応じた最大限の遮音を施し、通常の建築工事で普通に使われる仕上げ材料を用いて吸音した上で、安価で簡易な絨毯やカーテンを使い調音するのが最もコストパフォーマンスが高く、現実的な方法であると考えます。
音楽室 残響時間測定実績
- 床面積
- 13.37平方メートル
- 天井面積
- 14.64平方メートル
- 壁面積
- 34.55平方メートル
- 壁表面積
- 62.56平方メートル
- 室容積
- 30.60立方メートル
周波数 | Hz | 125 | 250 | 500 | 1,000 | 2,000 | 4,000 | 8,000 |
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床・木質フロアー | 13.37m2 | 0.16 | 0.14 | 0.12 | 0.11 | 0.09 | 0.07 | 0.06 |
天井 | 14.64m2 | 0.05 | 0.15 | 0.20 | 0.22 | 0.24 | 0.21 | 0.20 |
周壁 | 23.69m2 | 0.08 | 0.10 | 0.14 | 0.16 | 0.20 | 0.22 | 0.19 |
壁 | 10.86m2 | 0.08 | 0.12 | 0.15 | 0.17 | 0.22 | 0.22 | 0.20 |
カーテン | 23.70m2 | 0.22 | 0.38 | 0.55 | 0.72 | 0.70 | 0.60 | 0.53 |
カーペット | 14.64m2 | 0.22 | 0.25 | 0.35 | 0.40 | 0.50 | 0.75 | 0.68 |
残響時間 | 秒 | 5.33 | 1.93 | 0.94 | 0.60 | 0.56 | 0.65 | 0.86 |
室容量が小さいため、最適残響時間は500Hz以上の周波数帯で0.8秒以下が望ましい。
500Hz以下の低音域では、普通の建材では吸音力が少なく、残響時間が長くなりがちである。
しかし、低音域では大きさの感覚が鈍るので、音量感を出す方(すなわち多少、残響のある方)が良い。
※建築音響コンサルタント会社調べ
訪れたアーティストが語る 音楽室の魅力とは
住宅内に高防音の音楽室を備えたとあって、道内外からアーティストがしばしば視察に訪れています。
作曲家でボサノヴァギタリストの伊藤ゴローさんを始め、コトリンゴさん、TRIPLANEさん、SE-NOさん、ひまりさん、ほか。 プロのミュージシャン、アーティストらが体感した音楽の魅力をご紹介。